今日の流れ

13時32分頃、フィデリティ創業家一族のVCファンドが米中政府の緊張を背景に現在保有する中国テック株の売却を進めているとブルームバーグが報道。これが中国テック株の悪材料となり、香港ハンセン指数が14時過ぎから急落したと見られる。

日経平均株価も急速に上げ幅を縮小(TOPIXは一時マイ転)。

14時30分、TSMC月次売上高(5月分)発表。前月比マイナスの結果だったが5月の台湾ドル高による収益下押しの影響が大半と見られ、半導体受託製造ビジネス自体は良好。

TSMC月次売上高の結果を受けて香港ハンセン指数と日経平均株価、TOPIXは反発。その後、香港ハンセンは小幅に下げ幅縮小、日経平均株価とTOPIXはほぼ横ばい。

一方、東京エレクトロンやアドバンテスト、ディスコ、SCREEN、レーザーテックなど大型半導体製造装置株はTSMC月次売上高発表後に少し株価が反発したものの、その後に再び下落。信越化学やHOYAなど半導体材料株はTSMC月次売上高の後に日経平均株価と同様の横ばい推移となっていたことから、大型半導体製造装置株の弱さが目立った動きだった(その他、日経平均株価採用の半導体関連銘柄ではソシオネクストも弱かった)。

(ここからは池田の考察)大型半導体製造装置株が弱かった理由は定かではない。が、まず東京エレクトロンやアドバンテストは日経平均に影響を与える銘柄。それらの銘柄は昨日・今日と買いが優勢だった(一時的に株価が下げても、すぐに下げ渋る動きが見られていた)。その背景には米中関税交渉で「半導体規制が緩められるかも?」という買い方短期勢の期待があったと考えられる(それに加えて、金曜のメジャーSQに向けた短期勢の仕掛けの可能性も・・・)。しかし、ブルームバーグ報道による中国テック株急落という外部要因によって買い方の短期勢では支えきれないほどのスピードで日経平均株価が上げ幅を消す。即座に対応するために買い方の短期勢はポジションを縮小(あるいはショートで対応。いずれも売り圧力)。それがTSMCの好材料すら飲み込んで一層の株価下落に至ったのではないか・・・という考察(なお、時間的に英国の早朝ということもあり米中関税交渉に関する続報はなかったので、「半導体規制緩和への失望」は弱さの原因ではないだろう)。

6/11 7:09追記

今朝の米国市場でTSMC株は2.57%高でした。月次売上高への反応はポジティブと考えて良いでしょう。また、アプライド・マテリアルズやASML、ラムリサーチなども上昇していたので、大型半導体製造装置株の下落は日本市場固有のものでした。そうなるとこれらの株の下落要因としては、やはり中国テック株の急落による煽りが直撃し短期の需給が偏ったと考えられます(メジャーSQに絡む理由もありそう)。

大型半導体製造装置株。東京エレクトロン以外は前日比プラスを維持したが、14時30分直後の上げが継続せず大引けにかけて上げ幅縮小。